近所の神社にて

僕の部屋の窓からは近所の神社の様子がよく見える。
今日もお婆さんが鳥居とお賽銭箱を何度も往復しているのがよく見える。
あれはお百度参りと言って、ああやってお願いする事で願いが叶うらしい。
毎日欠かさずお参りしているんだ。よっぽど叶えたい願いがあるのだろう。
その願い事が気になって、僕はお婆さんに尋ねてみた。
「恥ずかしい話、この歳で恋をしてしまってね…その人が私を見てくれますようにって、こうやってお願いしているのよ」
そう言ってお婆さんはお百度参りを再開する。その様子を見て、気付いた事がある。
お婆さんはちらちらと僕の家に視線を送る。パパのいる部屋を何度も見ている。
パパが僕に気付いて手を振ってきた。手を振り返す僕。
その様子をお婆さんは忌々しそうに見つめ、何度も僕に舌打ちをした。
僕の部屋の窓からは近所の神社の様子がよく見える。
お婆さんが今日も父のストーカーをしている姿がよく見える。