近所の神社にて

近所の神社の境内に座り、ぼ～っとする。
『また来たのか。暇人め』
不機嫌を隠そうともせず私の隣に座る友神。
『早く我の事なんて忘れろ。そうすれば幽霊・物の怪・神と言った怪異が見えなくなり、人として真っ当な生き方が出来るぞ』
私ももう３０代半ば。神の言う真っ当な生き方をするには少し遅い。
何より友神の事を忘れたくないし、会えなくなるなんて絶対に嫌だ。
「あっ！ママ、やっぱりここにいた。神様、こんにちは」
『はい。こんにちは』
私に辛辣な友神も、私の娘には甘い。
「神様！さっきそこで怪我をした妖怪を見つけたの！」
娘が手を開く。足から血を流すネズミのような妖怪がそこにいた。
友神が手をかざすと、妖怪のケガがあっという間に治した。
「神様！ありがとう！」
妖怪と遊び始める娘を見て友神は『あの様子じゃ、あの子も我を忘れる事を選ばんだろうな…』とため息交じりに話す。
だけどその顔はとても嬉しそうだ。