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 夕空を眺めていたら、ひとかたまりの雲が、死んだ弟の顔に見えた。だからその雲に、弟と同じ名前をつけて、見つめていた。しばらくしたら、その雲が、二つにちぎれた。これは、弟が増えた、と考えるべきなのか、それとも、もう一度弟が死んだ、と考えるべきなのか。悩んでいたら、カラスが、僕の頭にフンを落として、雲を追いかけるように、飛んでいった。
青春
公開:25/04/21 20:30

六井象

短い読み物を書いています。その他の短編→ https://tomokotomariko.hatenablog.com/

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