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昔々、ある所に正直者の木こりがおりました。ある日、木こりは大切にしていた斧を誤って泉に落としてしまいました。すると、泉の中から美しい女神が現れ、木こりにこう尋ねました。

「あなたが落としたのは、この金の斧ですか、それとも銀の斧ですか?」

木こりは女神を見つめながら、こう答えました。
「あなたです。」

女神は困惑して尋ねました。
「斧を落としたのではないのですか?」

木こりは答えました。
「恋に落ちました。」

女神は驚きましたが、木こりの真っ直ぐな言葉に照れながらこう言いました。
「その正直さ、気に入りました。では、あなたにはこの金の斧と銀の斧を差し上げましょう。」
そして、女神は泉の中に消えていきました。

それからというもの、木こりは毎日、泉に斧を落とし続けました。

次の年。

木こりはもう、泉に斧を落とすことはありません。

家に帰れば、女神が笑顔で迎えてくれるのですから。
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公開:25/04/21 11:56

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