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郷里の神社で今年も花手水をやると聞き、連休を取って春詣でに来た。
神社や寺院で、お参りの際に手や口を清める手水舎を、季節の花で飾る行事だ。その美しさがSNSを通じて評判となり、全国に広まった。
観光客向けに定期開催する神社もあるが、私の郷里の花手水は、一年に一週間しか見られない特別なものだった。
一刻千金の名に恥じぬうららかな宵の口、花霞にけぶる石段を上り、鳥居をくぐって境内に入る。
地元の小さなお社で、参拝客の姿はまばらだ。お目当ての手水舎の周りは桜吹雪が音もなく降りしきり、淡く輝いて見えた。
やがて灯篭に火が燈され、夕暮れに沈む手水舎の水盤を覗く。
屋根に開いた天窓から光が差し、水鏡になった水盤に満開の桜が映り込んでいる。柄杓に汲んでお清めに使うと、口も手も桜の香りに染まる様だ。
お参りが済んだ帰り、再び手水舎へ寄る。
水盤には朧月がぽっかりと浮かび、白銀の月手水となっていた。
神社や寺院で、お参りの際に手や口を清める手水舎を、季節の花で飾る行事だ。その美しさがSNSを通じて評判となり、全国に広まった。
観光客向けに定期開催する神社もあるが、私の郷里の花手水は、一年に一週間しか見られない特別なものだった。
一刻千金の名に恥じぬうららかな宵の口、花霞にけぶる石段を上り、鳥居をくぐって境内に入る。
地元の小さなお社で、参拝客の姿はまばらだ。お目当ての手水舎の周りは桜吹雪が音もなく降りしきり、淡く輝いて見えた。
やがて灯篭に火が燈され、夕暮れに沈む手水舎の水盤を覗く。
屋根に開いた天窓から光が差し、水鏡になった水盤に満開の桜が映り込んでいる。柄杓に汲んでお清めに使うと、口も手も桜の香りに染まる様だ。
お参りが済んだ帰り、再び手水舎へ寄る。
水盤には朧月がぽっかりと浮かび、白銀の月手水となっていた。
その他
公開:25/04/14 16:43
更新:25/04/14 19:11
更新:25/04/14 19:11
ラジオ『月の音色』
月の文学館
テーマ:近所の神社にて
花手水(はなちょうず)
朗読採用いただきました♪
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
https://amzn.to/32W8iRO
ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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