信念、売ってます

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地元の神社の縁日。
『信念、売ってます』
妙な屋台が佇んでいた。
水晶玉を前にフードを被った人が座っている。占い屋?

「あなたのことなら何でも知っています」
突然、声をかけられた。
顔は口までしか見えないけど自分と同じ位の若い女性だ。

「遠慮しときます」
だって信念を捨てて占い師やっている訳でしょ?そんな人の話、聞く気にはならない。

「違いますよ。ご購入された信念に従って行動できます」
と、返してきた。意味が分からない。

「単純ですよ。"そうとしか生きられない"弊害もありますが。例えば『楽しく生きる』。色々考えすぎちゃうあなたに」

望んだ信念。だけど行動を縛られる。
不自由でも魅力的だ。
少なくとも格好よく生きられる。



家の洗面台で顔を洗う。
信念は買わなかった。
「私は私でやっていける」そう思ったから。

鏡を見てふと気づく。
彼女の口元、私と同じ位置にホクロがあった。
ファンタジー
公開:25/04/18 00:00
更新:25/04/18 00:16

いぬさか( 関東 )

初心者ですがよろしくお願いします。
心に浮かんだシーンを気ままに描いていきたいです。
同名で NOVEL DAYS でも活動しています。

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