2泊3日の人魚姫
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私の家に人魚姫が来た。二泊三日のホームステイで。私は彼女を中学校に連れて行く。でもすぐ後悔した。彼女めちゃ可愛いのだ。みんな彼女に夢中。私の好きな先生も。特にプールの授業は最悪だった。実は私全くのカナヅチ。クラスでただ一人ビート板が手放せない。姫は当たり前だけど、どんな泳ぎもスイスイだ。惨めだった。不意に対抗心が頭をもたげる。気づけば溺れていた。私を助けたのは姫。助けられた私は申し訳なさより妬みの気持ちで真っ黒だった。姫を残し一人で帰ると、同級生がすごい形相で追いかけてきた。野犬が姫を襲ったと。姫は街路樹の枝にしがみついていた。その木は伐採予定で助けようにも大人では木が倒れる可能性があるという。私は梯子を登り姫を励まし一緒に降りた。三日目。近所の海へ姫を送った。波打ち際で手を握られる。姫が波間に消え開くと虹色の大きな鱗が載っていた。姫のだ。「今度はそっちから来てね」私は鱗を両手で包み込む。
ファンタジー
公開:25/04/12 16:01
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