好意と柱

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人が本気になるときは、人生の中で、ほんの一瞬。

愛子は言う。「あんた、ちゃんとしなさいよ。」

真は言う。「あなたがピンチの時だけ本気になる。」

普段はぼけっと生きている男。
歌うこと以外は機能がポンコツ。
真の特技は盛り上げる事。

愛子は人生に疲れていた。
母を亡くし、自堕落に生きる父に疲れ、自分の人生に嫌気が差していた。

「私は呪われているのかな。」愛子は言った。

「あなたの為に、歌を唄う。」真は言う。

人生に疲れた時、周りの全ての人が敵に見える。
そして、自分まで、疑う。

言葉は人を癒やす。
メロディーに乗せて、更に人を癒やす。

柱は大きな天井をただ静かに支える。支えることが、特技。

天井は柱があるから、不安なく天井でいられる。そこには、天井の柱への好意がある。

だから、支えると支えられるの関係が成り立つ。

世の中はそう出来ている。
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公開:25/04/11 17:21

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