ビール検定

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 西暦23xx年
 この時代でもビールの人気は高くファンも多い。僕もその一人だ。
 好きが高じて、ビール検定という資格を受けているが、何度も不合格になっている。

 夕方、早目にバイト先のビアバーに出勤し、先輩に模擬試験を見てもらう。

「エール酵母発酵温度…合ってる。ビール純粋令の年号もOK。なんだ、結構出来てるじゃん」
「そうなんですよ。でもこっちの麦の収穫時期とか、ラガービールの熟成期間とかが全然…」
「本当だ。この辺は全部間違っているな」
先輩は不思議そうに解答用紙を見つめている。
店内に差し込む夕日のオレンジが段々と暗くなる中、先輩は、んっと眉間にシワを寄せた。
「お前ちょっと教科書見せてみろ」
僕は教科書をバッグから取り出して先輩に渡す。
教科書を見て先輩がニヤリと笑った。
「やっぱりな。お前この教科書、地球版だぞ」

 先輩がそう言うと、太陽が完全に東に沈んだ。
その他
公開:25/04/14 15:19
更新:25/04/14 16:28

宍戸 亜零( 日本 )

BEERquzと言う名前でビールを飲んだり、撮ったり、書いたり、話したりもしています。

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