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銀座の路地裏、雨音がグラスの氷を揺らすように静かに響く。
彼女は今日も、時代の絵葉書から抜け出したような装いで現れた。赤い口紅、揺れるイヤリング、そして、他人の女にはない匂い。
「また奥様にバレたらどうするの?」
細い指で煙草をくゆらせながら笑うその唇が、たまらなく欲しくなる。罪だと知っていた。
でも、抗えない。
家庭に戻れば、正しさばかりが並んでいる。だけど、彼女の前では理性が剥がれた。
この狂気じみた一瞬の耽美に、僕は生きている気がする。
終電が近づき、別れの言葉を飲み込んだ。そんな僕は彼女の唇に最後のキスを落とし、背を向ける。
傘のない背中に、銀座の雨が冷たい。だけど、心はまだ熱いままだった。
彼女は今日も、時代の絵葉書から抜け出したような装いで現れた。赤い口紅、揺れるイヤリング、そして、他人の女にはない匂い。
「また奥様にバレたらどうするの?」
細い指で煙草をくゆらせながら笑うその唇が、たまらなく欲しくなる。罪だと知っていた。
でも、抗えない。
家庭に戻れば、正しさばかりが並んでいる。だけど、彼女の前では理性が剥がれた。
この狂気じみた一瞬の耽美に、僕は生きている気がする。
終電が近づき、別れの言葉を飲み込んだ。そんな僕は彼女の唇に最後のキスを落とし、背を向ける。
傘のない背中に、銀座の雨が冷たい。だけど、心はまだ熱いままだった。
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公開:25/04/14 11:13
更新:25/04/14 11:14
更新:25/04/14 11:14
夜と硝子と、少しの記憶。
耽美・幻想・退廃を主食に綴ります。
静かに崩れるものが好き。
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