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春の午後、桜が校庭を染める中、千代は教室の窓辺でそっとノートを開いた。墨の香りに紛れて、心の鼓動が高鳴る。書かれていたのは、英語教師・新海先生への片思いの詩。淡い恋心は制服の襟元に忍ばせて、誰にも言えぬまま春が巡る。
「千代さん、その詩…とても美しいですね。」
不意に声がして振り返ると、そこには新海先生が立っていた。
頬が紅く染まる。
見られた。想いが、言葉が。
けれど先生は、ただ微笑んだ。
「詩は、心を映す鏡ですから。」
それだけ言って去っていく背中を、千代はただ見送る。届かぬ恋と知りながら、それでも胸に咲くこの想いは、春の花のように、ひっそりと息づいていた。
「千代さん、その詩…とても美しいですね。」
不意に声がして振り返ると、そこには新海先生が立っていた。
頬が紅く染まる。
見られた。想いが、言葉が。
けれど先生は、ただ微笑んだ。
「詩は、心を映す鏡ですから。」
それだけ言って去っていく背中を、千代はただ見送る。届かぬ恋と知りながら、それでも胸に咲くこの想いは、春の花のように、ひっそりと息づいていた。
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公開:25/04/13 13:25
夜と硝子と、少しの記憶。
耽美・幻想・退廃を主食に綴ります。
静かに崩れるものが好き。
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