時の番人

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ピッ、ピッ、

自分がレジ打ちをする音で、バイト中だと気づいた。

まただ…。

最近こういうことがよくある。ハッと気づいたら何時間も経っているのだ。

「大丈夫ですか」

するとそんな俺を見た目の前のお客さんが声をかけてきた。白い髭を生やしたお爺さんだった。

「あ、いや…」

上手く返せずにいると、彼がまた口を開く。

「それ、最近よくありますか」

「えっ…」

「まぁいいや、また来ます」

そう言って返事する間もなく去っていった。

しかしそれから彼はたまに店に来るようになり、挨拶を交わすくらいにはなった頃…。

「今日も来てくださったんですね」

「えぇ、でも来るのは今日が最後かな」

「え?」

「体調、大分よくなったでしょう」

確かにここ数日、あの現象が起きていない。でもなんでそのことを…?

「あなたの時計の針、壊れていたから直しておきましたよ。少々時間がかかりましたが」
ファンタジー
公開:25/04/07 13:17

肩幅広重( 限界集落 )

閲覧ありがとうございます。
初の試み

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