コンサートチケット

曇り空を見上げながら時間がくるのを待っている。今日はサザンのコンサートの一般発売の日だ。先行予約できなかったため一般発売を待つしかなかった。ぼーっと空を見上げていたら、いつの間にかチケット発売開始の時間が十五分過ぎてしまった。我に帰った瞬間、焦った。

「うわっ、時間過ぎちゃったよ。やばっ」

急いでチケット販売画面にアクセスする。二日間のコンサートはほとんど売り切れ。よく目を凝らしてみると「注釈付指定席」がかろうじて残っていた。「注釈付ってなんだ」と思い、妻のところに行き声をかけた。

「注釈付指定席っていう席だけ空いてるよ。どうする」
「えっ、どうするじゃないわよ。そこしか空いてないんでしょ」
「そうだけどさ。分かった、じゃあ予約しよう」

もう一度画面を開いた時には、二日間全てのコンサートは「予定枚数終了」という無情な表示に変わり、妻の目は吊り上がり、窓の外の曇り空は泣き出していた。