花音

夏に種をまき、秋に芽吹き、冬に咲く花・ビオラ。
寒さに強いその特性故、冬の花の代表であり、春になると季節外れ、なんてイメージがつきやすい。
いやいや。暖かくなってきた春こそ、ビオラの見ごろである。
今の時期、沢山の花をつけるビオラは卒業式や入学式、花壇に植えられては卒業生と入学生を温かく見守る。
私も小学校の頃、授業の一環でビオラを育てたものだ。
友達と何色を育てるか何度も相談した。私はあえて友達を引き立てる白を選んだ。
咲いた花で早速練習を始める。最初は上手く弾けず、何度も花を散らしたものだ。
だが、ビオラはすぐに次の花が咲く。故に失敗を恐れず練習を続けられた。
私が小学校の頃に育てていたビオラは楽器のビオラによく似ていてね、卒業式にはそれで卒業生を送る演奏をしたものだ。
しかも私が子どもの頃は生徒数も多かった。
在校生千人で演奏するものだから、その音色は千手花音なんて呼ばれていたよ。