視線の先に

腹が減った儂は視線の先に洋食屋を見つけ、運転手に車を止めさせた。
運転手は儂があの店に入ると言ったらひどく怯えた。
「旦那様。あの店は山猫軒。人を食う化け猫の店。やめたほうがいい」
儂は運転手の言葉を鼻で笑う。臆病者め。儂は銃を手に一人車から降り、店に入る。
化け猫が何だ。出たらこの銃で仕留めやる。
扉の前の注文が目に入る。儂に命令するなんぞ百年早い！無視して扉を次々と開けていく。
すると店の裏に出たではないか。全く変な店だ。
もう一度店に戻ろうとする儂。その身体が引きずり倒された。
「金目のものを出せ」
ならず者が儂に銃を突き付ける。
身ぐるみを剥がされ、銃も奪われた儂は這う這うの体で店へと逃げ込む。
酷い目に遭った。この店のものに文句の一つでも言ってやらねば気がすまない！
顔を真っ赤にする儂だが、すぐに青くなる。
視線の前に大きな口を開けた化け猫がいる。丸腰の儂に早く来いと目で訴える。