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火星で暮らす私たちの肺は、地球とは少し違う。
薄い大気に適応するため、再生医療で「火星肺」が与えられた。
「地球に戻ったら、呼吸できないかもね」
そう笑う同僚の彼は、近く地球へ帰還予定だった。
出発の日、私は火星の空気を閉じ込めた小さなカプセルを渡した。中には、細かな光の粒が舞っている。
「肺は記憶するから。これを開けて吸い込んでごらん」
「きれいだね。星の欠片みたいだ。」
数日後、彼から通信が届いた。
「地球の空気、苦しかったけど、君のカプセルを開けたら落ち着いたよ。おかげで、ここでもちゃんと息ができてる。」
私は空を見上げた。ふたつの星のあいだに、かすかな光の糸が揺れているように見えた。
薄い大気に適応するため、再生医療で「火星肺」が与えられた。
「地球に戻ったら、呼吸できないかもね」
そう笑う同僚の彼は、近く地球へ帰還予定だった。
出発の日、私は火星の空気を閉じ込めた小さなカプセルを渡した。中には、細かな光の粒が舞っている。
「肺は記憶するから。これを開けて吸い込んでごらん」
「きれいだね。星の欠片みたいだ。」
数日後、彼から通信が届いた。
「地球の空気、苦しかったけど、君のカプセルを開けたら落ち着いたよ。おかげで、ここでもちゃんと息ができてる。」
私は空を見上げた。ふたつの星のあいだに、かすかな光の糸が揺れているように見えた。
SF
公開:25/04/04 20:18
更新:25/04/04 23:59
更新:25/04/04 23:59
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