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名前しかない。吾輩は亀である。

先頭のやつに向かって飛んで行くことができる青甲羅。一個前のドライバーに向かって、追従できる赤甲羅。ただ真っ直ぐ飛んで、跳ね返ることができる緑甲羅。長生きすることしかできない吾輩。

そんな我輩にあるのは、異名だ。穀潰し亀、零殺傷亀、バカ亀。親不孝亀。

どうして吾輩は、何もできないのだろう。

吾輩は、亀だけでなく、人間の餓鬼にも虐められている。殴る蹴るは日常茶飯事。殺されないだけマシである。

今日もいつもの如く虐められつつ心の中で自虐していると、「やめろ小童ども!」と神の怒号が響く。

蜘蛛の子を散らしたかのように、がきどもは去っていく。

このお方、名を浦島太郎様という。

そうか。吾輩はこのお方に良い思いをしてもらうために生まれてきたのだ。

こうして、吾輩は竜宮城へと導く亀として今も語り継がれるのであった。
公開:25/04/02 21:42

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