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理想の去り方を演出する――それが『さよならプロデューサー』であるわたしの仕事だ。
退職するにあたり、今日は社員全員で桜満開の土手にやってきた。
花散らしの雨が降り注いでいるが、みなわたしのためにはりきってくれている。
百メートル先で横に並んでいる社員のひとりが、こちらに向かって大きく手を振った。
「青木さ〜ん、準備バッチリでーす! 青木さんのタイミングでどうぞ〜!」
「りょうかーい!」
わたしも負けじと声を張り上げ、傘を傾けた。風にあおられた雨に、桜の花びらが混じっている。こみ上げてきた思い出を胸に封じ、彼らから遠ざかるように歩きだした。そして最後のあいさつを述べた。
「さようならば、おいとま申す! みんな達者でな!」
苦楽をともにしてきた仲間たちは、さまざまな心あたたまるメッセージをわたしの背中に送ってくれた。どんなにつらくてもこらえてきた涙が、せきを切ったようにあふれてしまった。
退職するにあたり、今日は社員全員で桜満開の土手にやってきた。
花散らしの雨が降り注いでいるが、みなわたしのためにはりきってくれている。
百メートル先で横に並んでいる社員のひとりが、こちらに向かって大きく手を振った。
「青木さ〜ん、準備バッチリでーす! 青木さんのタイミングでどうぞ〜!」
「りょうかーい!」
わたしも負けじと声を張り上げ、傘を傾けた。風にあおられた雨に、桜の花びらが混じっている。こみ上げてきた思い出を胸に封じ、彼らから遠ざかるように歩きだした。そして最後のあいさつを述べた。
「さようならば、おいとま申す! みんな達者でな!」
苦楽をともにしてきた仲間たちは、さまざまな心あたたまるメッセージをわたしの背中に送ってくれた。どんなにつらくてもこらえてきた涙が、せきを切ったようにあふれてしまった。
その他
公開:25/03/29 13:49
更新:25/03/30 04:25
更新:25/03/30 04:25
☆やコメントありがとうございます✨
作品のイラストはibisPaintを使っています。
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