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夜間だけ父のベッドの下にセンサーマットを敷く事にした。
体重移動を検知しベッドからの事故を防ぐ介護用品だが、父に使用する新型は本当に危険な時だけ受信機が大音量で知らせる。
朝目を覚まし襖を開けると父はベッドに腰掛け、足元のマットには水面が映っていた。
踏んだ人の心象風景を映すという機能だが、父の両手は何かを握ってるようにも見え、私は親子で行った釣り堀を思い出した。
たしかあの時も今みたいに腰掛け、糸の先をじっと見ていたっけ。
隣室に戻ると受信機から、ポチャンと小さな音が響いた。
受信機からの声に起こされ襖を開け電気をつけると、父はベッド横に立っていた。
マットには所々穴の空いた白い岩の表面が映っている。私は、父が昔この位の時間に観たという中継映像を思い出した。
「…白い…が…面で…左上から…下へ斜めに水平線…すね」
再度受信機から声が響くと、私は蹌踉と月面を歩こうとする父の体を支えた。
体重移動を検知しベッドからの事故を防ぐ介護用品だが、父に使用する新型は本当に危険な時だけ受信機が大音量で知らせる。
朝目を覚まし襖を開けると父はベッドに腰掛け、足元のマットには水面が映っていた。
踏んだ人の心象風景を映すという機能だが、父の両手は何かを握ってるようにも見え、私は親子で行った釣り堀を思い出した。
たしかあの時も今みたいに腰掛け、糸の先をじっと見ていたっけ。
隣室に戻ると受信機から、ポチャンと小さな音が響いた。
受信機からの声に起こされ襖を開け電気をつけると、父はベッド横に立っていた。
マットには所々穴の空いた白い岩の表面が映っている。私は、父が昔この位の時間に観たという中継映像を思い出した。
「…白い…が…面で…左上から…下へ斜めに水平線…すね」
再度受信機から声が響くと、私は蹌踉と月面を歩こうとする父の体を支えた。
SF
公開:25/03/25 17:10
更新:25/03/25 17:09
更新:25/03/25 17:09
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