それぞれの方向

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 人を殺しに行くため、包丁を持って、部屋を出て、マンションのエレベーターに乗った。
 降下していくエレベーターが途中の階で止まり、一人の女性が乗ってきた。
 その女性も包丁を持っていた。
 失礼にならない程度に確認すると、女性の包丁の刃には、血がついていた。この女性は人を殺し終えて、エレベーターに乗ってきたらしい。
 ならば、私が刺されることはないだろう。私はほっと一安心した。
 エレベーターが一階に着いた。扉が開き、私たちはそれぞれの方向へ歩き始めた。
ホラー
公開:25/03/23 22:36

六井象

短い読み物を書いています。その他の短編→ https://tomokotomariko.hatenablog.com/

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