名画でショート052『ホロフェルネスの首を斬るユディト』(アルテミジア・ジェンティレスキ)

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彼女たちの腕に、全ての恨みがこもっていた。
侵略軍の司令官は女好きで有名だった。美女2人が友好の使節の名目で送り込まれた。当然のように司令官は2人を寝室に誘い、あえなく寝首をかかれた。
これほどまでに容易に、しかも堂々と司令官に近づける方法はない。
司令官はもっと注意すべきだったかもしれない。
美女二人が筋骨たくましいことに。ひとりではなふたりであることに。ゆったりとした服を着ていた意味について。
だが勝者のおごりとは、油断を産むものだ。
美女二人は、冷徹な目を失わない。太い腕を伸ばし、体をロックして、憐れみをこう司令官の首に刀を挿しこんでいく。
全てが完ぺきだった。
この作戦は、冷静な彼女たちの勝利でもある。
彼女たちの雄姿は、画家たちの手によって、永遠に飾られつづけた。
その他
公開:25/03/27 19:57

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