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わたしが入る店はかならずにぎわう。
ひとたびわたしが足を踏み入れれば後からどんどん客がやってくるのだ。
これで生計を立てられるようになり早五年。
そろそろ後進の育成に本腰を入れようと考え今日は雇われ先の雑貨店に後輩を連れて向かった。
「到着したら、まず座る」
「座る」
「そこであくびをするか、毛並みの点検をする」
「あくびか毛並み点検」
「ここで気をつけねばならんのは子供だ。いきなりしっぽをつかまれることもあるから周囲の観察は必須だ」
「観察必須」とおうむ返しした後輩だが、目の端を横切った蝶に視線をさまよわせていた。
わたしは苦笑いしながら言った。
「いいぞ。思う存分、追いかけて」
顔を輝かせた後輩は、蝶を追ってうさぎのように辺りを跳ね回りはじめた。
するとちょうど雑貨店の主人が出勤してきた。
「新入りかい? 待ってろ、いい缶詰め開けてやるからな」
わたしはニャアと機嫌よく鳴いて応じた。
ひとたびわたしが足を踏み入れれば後からどんどん客がやってくるのだ。
これで生計を立てられるようになり早五年。
そろそろ後進の育成に本腰を入れようと考え今日は雇われ先の雑貨店に後輩を連れて向かった。
「到着したら、まず座る」
「座る」
「そこであくびをするか、毛並みの点検をする」
「あくびか毛並み点検」
「ここで気をつけねばならんのは子供だ。いきなりしっぽをつかまれることもあるから周囲の観察は必須だ」
「観察必須」とおうむ返しした後輩だが、目の端を横切った蝶に視線をさまよわせていた。
わたしは苦笑いしながら言った。
「いいぞ。思う存分、追いかけて」
顔を輝かせた後輩は、蝶を追ってうさぎのように辺りを跳ね回りはじめた。
するとちょうど雑貨店の主人が出勤してきた。
「新入りかい? 待ってろ、いい缶詰め開けてやるからな」
わたしはニャアと機嫌よく鳴いて応じた。
その他
公開:25/03/27 04:48
☆やコメントありがとうございます✨
作品のイラストはibisPaintを使っています。
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