名画でショート051『フォンテーヌブローのナポレオン』(ポール・ドラローシュ)

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英雄にも賞味期限がある。
あれだけ大衆を熱狂させ、全国民の憧れとなり、向かうところ敵なしで戦争に勝ち続けた英雄だったとしても、押し寄せる年齢と飽きっぽい大衆にはかなわない。
若き英雄だったナポレオンも、年老い、中年太りが目立ち、頭髪も薄くなり始めた。だらしない体形は、だらしない姿勢を取ると、さらにだらしなくなる。華麗なる軍服も、だらしない肉体が身にまとうと、哀れなピエロに過ぎなくなる。
もし彼が屈辱的大敗をする前に、事故で死亡していたら、アレクサンダー大王のように伝説の英雄になれただろうか。シーザーのように、帝国が滅びた後も、英雄として世界中から奉られていただろうか。
自らの役割が終焉したことを自覚しながらも、英雄は生き続けた。エルベ島に流された。その後、100日間とはいえ、ナポレオンが再びひのき舞台にたつとは、だれが予想しただろうか。
賞味期限が2回くる英雄も、ときには、いる。
その他
公開:25/03/21 23:30

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