ひんやりホットティー

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いつものティータイム。
カップにお湯を注ぎ、じっと中を覗き見る。
そこにはこちらをじっと見つめるもう一人の自分。
波をうち、もう一人の自分の姿が歪む。

「──お姉ちゃん!」
呼ばれ、振り向くと妹がいた。
正直、私は妹が苦手。
みんなにチヤホヤされて育ってきた彼女は我が儘で、私のものをすぐに欲しがる。
「お姉ちゃん、この鞄かわいいね」
「最近買ったお気に入りなの」
「私にちょうだ──」
「15万。Rデパートに売ってるから」
そう言って、唖然とする妹を部屋から追い出した。
信じられないくらいにスッキリした。
いつもなら断れなくて、後悔ばかりなのに。

「お姉ちゃん?」
妹の声にハッとする。
「どうしたの? ボーッとして」
「あ、うん。何でもないよ」
再びカップを覗くと、もう一人の歪んだ自分の姿。
「これ、新しい鞄?」
カップに茶葉を浮かべると、歪んだ私が茶色に染まり消えていった。




その他
公開:25/03/21 22:42

Mi-sya

自由気ままに。
よろしくお願いします。

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