無言の部屋

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就職活動がうまくゆかず、投げやりになっていたわたしのところへ、奇妙なメールが届いた。
――資格不要。依頼があった時に……を送信する仕事です。
送り主は『無言の部屋』とある。『……』の部分は文字化けしたのだろうか。
誰かと話したい気分だったので電話で問い合わせると、軽やかな女性の声が聞こえてきた。
「ご登録ありがとうございます。お名前をちょうだいいたします」
「えっ、登録!?」
「はい。勤務はいつから可能ですか?」
困ったことになったと思ったが、職のないわたしへの家族の冷ややかな視線を思い出すと、これもなにかの縁だと感じた。
「今からでもできます」
「承知いたしました。ではマニュアルをお送りしますので、明日から勤務を開始してください」

以来わたしは、世界中の『……』を送信する仕事をしているのだが、家族も友人も信じてくれないのでここで明かすことにした。
ちなみに先日、勤続二十年を迎えた。
その他
公開:25/03/17 12:09

いちいおと( japan )

☆やコメントありがとうございます✨

作品のイラストはibisPaintを使っています。

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