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活け花の先生である祖母が、活け鉄塔の先生でもある事を知った。
祖母が花台に置いた水盤には、剣山も花もなく四角鉄塔が立っていた。
そしてその上には入道雲が湧き、蝉の声も聞こえ始めた。
「これは一体?」
祖母は私の問いに答えず、次に門形鉄塔を置いた。
同じように水を張った水盤に立っていたが、そこには茜色の陽が射し、水平材に留まった烏がカァカァ鳴き声を上げていた。
季節の移ろいを感じる事も活け花の魅力だというけれど、活け鉄塔もそうなのか…。
だが次に置かれたのは蔦に覆われた、えぼし形鉄塔だった。
水盤の底から這い出る蔦を見て思う。これは「水に覆われてしまった地に立つ鉄塔」だと。
つまり季節の移ろいだけでなく時代の、いやこの星の移ろいを表現するのが活け鉄塔なのだ。
何かが崩れる音の後、鉄塔に波が寄せる。そして私は揺れる蔦の中に、黄緑の点々を見つけた。
それは活け鉄塔に咲く、終末の活け花だった。
祖母が花台に置いた水盤には、剣山も花もなく四角鉄塔が立っていた。
そしてその上には入道雲が湧き、蝉の声も聞こえ始めた。
「これは一体?」
祖母は私の問いに答えず、次に門形鉄塔を置いた。
同じように水を張った水盤に立っていたが、そこには茜色の陽が射し、水平材に留まった烏がカァカァ鳴き声を上げていた。
季節の移ろいを感じる事も活け花の魅力だというけれど、活け鉄塔もそうなのか…。
だが次に置かれたのは蔦に覆われた、えぼし形鉄塔だった。
水盤の底から這い出る蔦を見て思う。これは「水に覆われてしまった地に立つ鉄塔」だと。
つまり季節の移ろいだけでなく時代の、いやこの星の移ろいを表現するのが活け鉄塔なのだ。
何かが崩れる音の後、鉄塔に波が寄せる。そして私は揺れる蔦の中に、黄緑の点々を見つけた。
それは活け鉄塔に咲く、終末の活け花だった。
ファンタジー
公開:25/03/17 13:10
更新:25/03/17 13:06
更新:25/03/17 13:06
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