分からせハンマー

私は春になるといつもハンマーを持ち歩く。鞄の中に潜ませておく。
私はこれで人を襲う。私の周りには、このハンマーでぶん殴られるべき奴が多すぎる。だから私は人知れず人を襲う。
このハンマー、直接的には人を傷つけない。だから殴られた事に気付く人はほぼいない。自身の変化に気付く人はまずいない。
変化に気付いた時はもう遅い。もう手遅れだ。その苦しみと一生付き合っていかなくてはならない体になっている。
今日も私はハンマーを振るった。
「花粉症辛そうだね～？俺なった事ないから分かんないや」
と”花粉症じゃないマウント”を取る男の頭をぶん殴る。
パリンっ！と音がした。
だが男に怪我はない。一瞬音に反応するも、すぐに気にしなくなる。
さっき、私がこのハンマーで壊したのは男の花粉症コップ。花粉症の耐性度と呼ばれるものでもある。
これであの男は花粉症に対する耐性を失った。
ようこそ。今日から花粉症の仲間入りだ。