１０万円のコップ

今日のデート、彼が私を連れてきてくれたのはコップ専門店だった。
大小様々な意匠を凝らしたコップが飾られてある。
お洒落な店だ。彼のセンスを褒めてあげよう。
「気に入って貰えて良かった。実は君に、プレゼントしたいコップがあってさ」
そう言って彼は何の変哲もないコップを私に差し出す。
これで１０万円？高っ！
彼はそのコップを私の鼻にピタッとくっつけると力いっぱい押し込む。
するとそのコップは私の顔の中に吸い込まれてしまったではないか。
それに押し出される形で私の後頭部からはショットグラスのような小さなコップが落ちたではないか。
「その小さなコップが君の花粉症のコップだよ。花粉症の例えでよく使われる、あのコップだ」
これがあの…と感心する。こんなに小さいんじゃ、そりゃ私のくしゃみ・鼻水・涙が止まらないわけだ…
彼が入れてくれたコップのおかげで花粉症の症状は出なくなった。
１０万円も納得の効果だ。