絆創膏で、より決意を

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えっ?

「ん? どうした?」
ずっと動いていた手が止まったからか、目の前に座る友達はすぐ反応した。
手元のノートに血が付いている。さっきページをめくったときに指を切ったのだろう。ティッシュで拭こうか。

「これ貼りな、結構深くまで切れてる」
二度目の驚きが視界に入る。相手の手には絆創膏が握られていた。
「……ありがとう」
確かに、痛みはないがすぐには治らなさそうだ。ありがたい。ただツッコみたい。

 女子かお前は。筆箱に絆創膏忍ばせてる男子がそう易々といてたまるか。女子として負けた気分だ。成績然り、私はいつもこいつに勝てないな。 

 絆創膏を巻き終わり、再びシャーペンを握り、受験勉強の意思をより強固にした。こいつは私が何を考えているか知らないんだ。私とこいつの第一志望校は同じ。合格したら、分厚いメガネを取って、髪を下ろして。無駄に女子みたいなこいつの仏頂面を、こちらに向けてやるんだ。
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公開:25/03/16 19:26

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