モヤイボ
2
2
初デートの時、水辺に薔薇が咲いてたろ?それを思い出してね、触れようとして棘が刺さった。
そしてそれが原因で、この指先にイボが出来て船が留まるようになった。
最初は片手で掴める位の小型漁船だったな。綱が伸びててイボに結ばれていた。
「もやいの役割をするモヤイボです。係船柱みたいなもんですね」
この病院の医者はフワフワ、いやプカプカと目の前に浮かぶ船を見ながら言った。
しかし肩幅程のタンカーが係留した時は焦ったよ。綱を解こうにも、不器用なうえ片手でやる事になるから毎回助けてもらった。
あと客船が留まった時は寂しかったな。船旅の約束をしてたけど、君はもういなかったから。
「でも、初デートの時の小舟で迎えに来てくれるとはね」
ベッド上の自分を見下ろし、隣に座る妻に言う。
「本当にいいの?」
妻の問いに答える前に、綱は自然と解けていった。
「ちゃんと結べてなかったみたいだよ」
「私も不器用だから」
そしてそれが原因で、この指先にイボが出来て船が留まるようになった。
最初は片手で掴める位の小型漁船だったな。綱が伸びててイボに結ばれていた。
「もやいの役割をするモヤイボです。係船柱みたいなもんですね」
この病院の医者はフワフワ、いやプカプカと目の前に浮かぶ船を見ながら言った。
しかし肩幅程のタンカーが係留した時は焦ったよ。綱を解こうにも、不器用なうえ片手でやる事になるから毎回助けてもらった。
あと客船が留まった時は寂しかったな。船旅の約束をしてたけど、君はもういなかったから。
「でも、初デートの時の小舟で迎えに来てくれるとはね」
ベッド上の自分を見下ろし、隣に座る妻に言う。
「本当にいいの?」
妻の問いに答える前に、綱は自然と解けていった。
「ちゃんと結べてなかったみたいだよ」
「私も不器用だから」
ファンタジー
公開:25/03/20 09:00
更新:25/03/20 09:07
更新:25/03/20 09:07
ログインするとコメントを投稿できます