無制限プラン
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少年は祖母と二人暮らしだった。少年は亡くなった母親のことを思い出し「お母さんに会いたい」と言っては泣くことが多かった。祖母はそんな少年を不憫に思い、少年が「お母さんに会いたい」と口にするたびに、少年のお小遣いを十円減らすことにした。少年のお小遣いはどんどん減っていった。同級生に駄菓子屋に誘われても断らざるを得なくなった。そしてある時少年のお小遣いはついにゼロになった。少年は漫画を売ってお金を作り、「お母さんに会いたい」と言うたびに、祖母に十円ずつ支払うようになった。やがて少年は成長しアルバイトを始めた。少年は金銭的に余裕が出来た。少年はいちいち祖母に十円ずつ払うのが面倒になり、ある程度のまとまった金を先払いし、無制限に「お母さんに会いたい」と言えるプランを祖母に提案した。祖母はそれを了承した。もっともその頃には、少年は滅多に「お母さんに会いたい」と思うことはなくなっていた。
青春
公開:25/03/13 18:09
短い読み物を書いています。その他の短編→ https://tomokotomariko.hatenablog.com/
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