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 今日行くところは都心のど真ん中。ショーウィンドウがそこかしこにある。私はそれが嫌いだ。
 街ガラスには悪魔が潜んでいるから。私は全力で目を閉じて、早歩きで待ち合わせの場所まで向かう。

『粧したところで、何も変わっちゃいない』
『お前の下手なメイクなんぞ、どこか既に崩れているに決まっている』
『ほら、見てみたくないのか』
悪魔が囁く。

だけど、待ち合わせ場所に着けば大丈夫。いつも私を助けてくれる、エクソシストは先に待ってくれていた。
「おまたせ! ごめん待った?」
「全然! 今きたばっか」
もう期待している自分がいる。
「あれ、いつもと髪型違うじゃん」
「うん、ちょっと変えてみた! ……どう?」

「可愛い!」

私のエクソシストは、明るい笑顔とその言葉で悪魔を祓ってくれた。
 いずれ悪魔はまた戻ってくる。けれどしばらくは、彼の言葉で、私が出せる一番綺麗な笑顔を、彼に見せていられる。
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公開:25/03/12 21:00

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