待ってるからね

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「ママ! 昨日ね、赤ちゃん来たよ!」
「はい?」

私は唖然として、息子の得意げな顔を見つめた。
私の薄い反応が気に入らないのか、息子はぷっと頬を膨らませて膝にしがみついてきた。

「だからね。昨日、赤ちゃんが来たの!」

判ったから、その続き。

「ここへ? 誰かと一緒に来たの?」
「ううん、その子一人だったよ。僕、一緒に遊んだんだ」

むむ、何やら引っかかる。


翌日、私は半信半疑で病院へ行ってみた。

結果は――。


帰り道、二人だけで歩く日もあと少しかと思うと、つい足取りも緩やかになる。


「ねえ、赤ちゃんが来たって言ってたじゃない? それって男の子だった? それとも女の子?」

まだ早すぎて、検査では性別が判らなかったのだ。

「わかんない!」
「へ?」

息子は、見事に私と夫の顔を足して2で割った顔で、にぱっと笑った。

「だって、お顔にもやもやがかかってたんだもん!」
ファンタジー
公開:25/03/09 19:36
ぱせりん祭り もやもや祭り ぱせりんさん、おめでとう

秋田柴子

2019年11月、SSGの庭師となりました
現在は主にnoteと公募でSS~長編を書いています
留守ばかりですみません

【活動歴】
・東京新聞300文字小説 優秀賞
・『第二回日本おいしい小説大賞』最終候補(小学館)
・note×Panasonic「思い込みが変わったこと」コンテスト 企業賞
・SSマガジン『ベリショーズ』掲載
(Kindle無料配信中)

【近況】
 第31回やまなし文学賞 佳作→ 作品集として書籍化(Amazonにて販売中)
 小布施『本をつくるプロジェクト』優秀賞

【note】
 https://note.com/akishiba_note

【Twitter】
 https://twitter.com/CNecozo

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