もやもや

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「ママー!」「おーい」
息子と夫が呼んでいる。私の周りにはもやが立ち込めていて、2人の姿はうっすらとしか見えない。
「息子のご飯と俺の靴下は?」
「自分で用意してー!」
もやの向こうから「えー?」と夫の声がした。もやもや…もやが濃くなり、2人の姿は完全に隠れ、もう足元も見えない。
「もやで何も見えないのよ!動いたら転んじゃうわ」
息子の心配そうな声が聞こえた。
「ママ転んじゃう?」
「ママはお腹に赤ちゃんがいるから転んだら大変だ」
夫が息子に説明している。
「ママは大丈夫よ!」
慌てて動こうとして足元の何かに躓いた。転んじゃう…
その時、風が吹いて目の前のもやが一気に晴れ、夫が私の体を支えた。
息子が真っ赤な顔でフーフーともやを吹き飛ばしている。思わず息子を抱きしめて部屋を見渡した。散乱した洗濯もの、食べ残しのご飯、流しに溜まった洗い物。もやもや…
目の前に真っ白なもやが一気に立ち込めた。
公開:25/03/09 11:40
もやもや祭り ぱせりん祭

むう( 地獄 )

人間界で書いたり読んだりしてる骸骨。白むうと黒むうがいます。読書、音楽、舞台、昆虫が好き。松尾スズキと大人計画を愛する。ショートショートマガジン『ベリショーズ 』編集。そるとばたあ@ことば遊びのマネージャー。

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