いや、そうじゃなくて…

夜の墓地に肝試しにやってきた私達。
中間地点まで進んだところで生暖かい風が吹く。木々がざわめき、今にも幽霊が出て来そうな雰囲気に足がすくむ。こうなってしまっては行くも地獄。戻るも地獄だ。
この恐怖から逃れる方法は何かないか…そうだ！音楽だ！楽しい音楽を聞けば、きっと怖くなくなるはずだ！
私はスマホを取り出すと大声で命令する。
「場を盛り上げる音楽を大音量で流して！」

ヒュ～～～～～～～～…
ドロドロドロドロドロ…

「いや、墓地を盛り上げるんかい！」
つい、ツッコミを入れてしまった。
私達以外には誰もいない墓場。何故か、笑いに包まれるのを感じた。