君と、もやもや、

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 なんとなく入った雑貨屋さんには、瓶がずらりと並んでいた。
 ひとつ、ひとつを覗いてみるけれど、どの瓶にも同じような“もやもや”したナニカが入っている。
 「これは一体?」
 私の呟きを聞いていたのか店主が言う。
 「お好きな瓶を選んで、開けてみてください。きっと素敵なことが…」


 そっとひとつを手に取り、開ける。

 「わーー!!!」
 もやもやと一緒に現れたのは、ちいさな子ども。私の方を見て、笑って。
 「これからいっぱいあそぼうね!」
 驚きながらも自然に。
 「うん!遊ぼう!!」と返す。
 また笑って。
 もやもやと一緒にその子どもはふわっと消えていった。私のお腹のあたりを通って。


 そんな夢から目覚めた。
 病院へ行く用意をテキパキと。


 先生がニコッとして言う。
 「…おめでとうございます!」

 お腹に手を当てて、君に聞こえるようにそっと。
 「いっぱい遊ぼうね」
公開:25/03/10 15:38
更新:25/03/10 16:52
ぱせりん祭 もやもや祭

すみれ( どこか。 )

書くこと、読むことが大好き。
青空に浮かぶ白い雲のように、のんびり紡いでいます。
・プチコン「新生活」 優秀賞『また、ふたりで』
・ショートショートコンテスト「節目」 入賞『涯灯』



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