周囲の声

明け方、布団の中で微睡んでいると夢を見た。僕がまだ、幼い頃の記憶だ。僕をとても可愛がってくれる親戚が言った。
「末は博士か？大臣か？」

今朝、寝坊して会社を遅刻してしまった僕に部長が言った。
「こんな時間に来るなんて、重役出勤か？」

今日の昼、近くのスーパーで半額シールの貼られた寿司を食べていると同僚に言われた。
「昼から寿司とか、殿様かよ」

今日の夕方、突然雨が降ってきたので父に会社まで迎えに来てもらった。
「運転手付きの車で帰れるなんて、まるで社長だな」

今日１日で博士・大臣・重役・殿様・社長と呼ばれた僕。
皆、僕が出世するって期待してくれているんだ。なら、その期待にこたえなきゃね。
Yes we can. Yes we did.

「アメリカの元大統領かよ！」
どこかからそんなツッコミが聞こえてきた。
いやぁ…さすがにそれは過大評価だよ。