育ちの良さ
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夏の夜、俺が住んでいるボロアパートの一室に、開けっ放しにしていた窓から、一匹の蛾が入ってきた。
ちっ。
俺は舌打ちをして、雑誌を丸めて振り回したが、蛾は出ていかない。
そこで、玄関の隅に置いている殺虫剤の缶を手に取り、蛾に向かって噴射しようとしたところで、俺は気づいた。
蛾の翅に"人"というスタンプが捺されている。どうやらこの蛾は、前世で人間だったらしい。
ちっ。
俺は舌打ちをして、殺虫剤を引っ込めた。
いや、別に前世が人間であろうがなかろうが殺したってかまわないとは思うが、こういうところで俺の育ちの良さが出てしまうのだ。
ちっ。
俺は舌打ちをして、雑誌を丸めて振り回したが、蛾は出ていかない。
そこで、玄関の隅に置いている殺虫剤の缶を手に取り、蛾に向かって噴射しようとしたところで、俺は気づいた。
蛾の翅に"人"というスタンプが捺されている。どうやらこの蛾は、前世で人間だったらしい。
ちっ。
俺は舌打ちをして、殺虫剤を引っ込めた。
いや、別に前世が人間であろうがなかろうが殺したってかまわないとは思うが、こういうところで俺の育ちの良さが出てしまうのだ。
ホラー
公開:25/03/04 22:13
短い読み物を書いています。その他の短編→ https://tomokotomariko.hatenablog.com/
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