アーティフィシャル平衡状態

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「あなた、あの時、私が断ってたらどうするつもりだったの?」
 そう言って、悪戯っぽくニヤついた顔を向けてきた。
「どうする?と言われても。ちゃんと伝えないと、君が遠くに行ってしまう気がしたんだ」
 それが僕の告白の正直なモチベーションだった。

「別にどこにも行かないのに。かれこれ十年になるけど、私たちって友達みたいな夫婦じゃない?」
 幼馴染から恋人になって、一時はぎこちなさもあったけど、意外とフラットに続いている。僕ら二人にとって自然なありかただった。
「親友とか、別の形もあったかもね。でも、日常としてそばにいるのは、難しかったように思う」
 意識的に変化を続けることで、初めて維持できる関係性もあるのではないか。
「少しずつ疎遠になって、みたいな?まぁ、私はこれで良かったと思ってるよ。ありがと!」
 この屈託のない笑顔の為なら、努力を惜しまない。

 僕たちは、ともに未来へ歩んでいく。
青春
公開:25/03/07 02:18

いぬさか

初心者ですがよろしくお願いします。
心に浮かんだシーンを気ままに描いていきたいです。

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