夢見る奥さま

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私は使い捨てられた、シンデレラ。
初恋はカシャンと音を立てて消えた。
何人と口付けを交わしたことか。
異性だったり、同性だったり……時には動物だったり。
けれど、私には拒否権はないの。

「おい。いつまで寝てるんだ?」
「違うのよ……寝てるフリ」
「なに訳の分からない──」
「目を瞑っていたら、それだけでロマンチックでしょ?」
「寝言は寝て言えって。俺はいつも痛い思いばかりしてるってのに」

今日は先に主人が選ばれた。

見上げると、今まさに口に運ばれるところだった。

──今日の人は豪快だわね。

主人の悲鳴は呑み込まれていた。
次には私の番。
熱湯に浸かって、肌を潤して……

「やん、くすぐったいわ」
「ソコ、頭じゃん。てっかてかの頭じゃん」
「トゲトゲには言われたくないわ」

主人と火花を散らし合っていると、身体がふわりと浮いた。

「仲直りしよう、プーン」
「一文字忘れてるわよ」
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公開:25/03/04 01:51

Mi-sya

自由気ままに。
よろしくお願いします。

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