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我が家のお雛様は七段飾りだが、もう何年も前から男雛と女雛しか出していない。
すると今朝のこと、どこからかすすり泣く声が聞こえてきたのでたどってゆくと、三人上戸のひとり、泣き上戸がそこにいた。
なだめるべく近づいたものの、後方から小さな矢が雨のように飛んでくる。振り返ったら、左大臣と右大臣が仁王立ちしていた。
「長きに渡り、我々を暗闇に閉じ込めた報いを受けるがよいぞ、この不届き者が!」
黙ってやられるつもりはない。こんなこともあろうかと、メンバーを菓子で買収していたのだ。
「今だっ! 三人官女!」
「ヨイヤサー!」
わたしのかけ声に応じた彼女らのエレキギター演奏が耳をつんざく勢いで辺りに流れる。
中立を決め込む五人囃子。
あっけに取られる男雛と女雛。
「参った! 降参だ!」とうずくまる左大臣と右大臣。
この一連の騒動だが、二年前から始まった。
最後は笑顔で握手を交わすのが慣例だ。
すると今朝のこと、どこからかすすり泣く声が聞こえてきたのでたどってゆくと、三人上戸のひとり、泣き上戸がそこにいた。
なだめるべく近づいたものの、後方から小さな矢が雨のように飛んでくる。振り返ったら、左大臣と右大臣が仁王立ちしていた。
「長きに渡り、我々を暗闇に閉じ込めた報いを受けるがよいぞ、この不届き者が!」
黙ってやられるつもりはない。こんなこともあろうかと、メンバーを菓子で買収していたのだ。
「今だっ! 三人官女!」
「ヨイヤサー!」
わたしのかけ声に応じた彼女らのエレキギター演奏が耳をつんざく勢いで辺りに流れる。
中立を決め込む五人囃子。
あっけに取られる男雛と女雛。
「参った! 降参だ!」とうずくまる左大臣と右大臣。
この一連の騒動だが、二年前から始まった。
最後は笑顔で握手を交わすのが慣例だ。
ファンタジー
公開:25/03/03 13:52
☆やコメントありがとうございます✨
作品のイラストはibisPaintを使っています。
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