声が枯れるペットボトル

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 10月の日曜日、恵子は小学一年の健太を連れてショッピングモールに来ていた。衣類や食品など買い物して、ご褒美におもちゃを一つ買うことになった。おもちゃコーナーで健太は、声が枯れるペットボトルを選んだ。
 遅い昼食をフードコートで食べ終わると、さっそく健太がおもちゃを試した。
 ペットボトルのキャップを開け、「こんにちは」と言ってキャップを閉める。30秒待って開けると、しゃがれた健太の声で「こんにちは」と聞こえ大笑いした。言葉を変え何度もやった。お母さんは携帯に夢中になっている。
 健太はキャップを開け、こっそりペットボトルをお尻に当て、「ぶっ」とおならをした。
 キャップを閉め、おならに気づいたお母さんの顔にペットボトルを近づけ、30秒待って素早くキャップを開けた。
 微かな枯れた「ぶっ」と音がし、匂いは十倍で恵子の顔を直撃した。
 フードコートに恵子の老婆の様な悲鳴が響き渡った。
 
その他
公開:25/03/02 13:31
#ショートショート研究室

プリウス三世( 愛媛と高知 )

文章書く練習始めました。アニメ、原作小説、漫画を角度を変えて味わうのが好きです。

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