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フキノトウの蕾が顔を出し始めたある朝のこと。住宅街で日課のジョギングをしていると、道端にうずくまっている女性を見かけた。「どうしました?」と私が声をかけると、振り向いたその女性は涙を流していた。紺色のスーツに身を包んでいる。就職活動が上手く行っていないのか?それとも私の顔に、泣かせる要素でもあるのだろうか。するとその女性は泣きながら、こう答えた。
「どうして…どうして通りすがりの関係ない人にそんなこと打ち明けなきゃいけないんですか?」
そう言うなりその女性は泣きながら、その場を走り去った。通りかかる人々は、私が女性を泣かせたと思ったらしく私に冷たい視線を送ってくる。ジョギングで温まった体のあちこちから汗が滲み出る。さっきまで気分よくジョギングしていたのに、女性の涙の理由もわからぬ上に罵倒まであびせられ、周囲には誤解されるという仕打ちに、私の目から熱いものが滲んできた。春風が冷たい。
「どうして…どうして通りすがりの関係ない人にそんなこと打ち明けなきゃいけないんですか?」
そう言うなりその女性は泣きながら、その場を走り去った。通りかかる人々は、私が女性を泣かせたと思ったらしく私に冷たい視線を送ってくる。ジョギングで温まった体のあちこちから汗が滲み出る。さっきまで気分よくジョギングしていたのに、女性の涙の理由もわからぬ上に罵倒まであびせられ、周囲には誤解されるという仕打ちに、私の目から熱いものが滲んできた。春風が冷たい。
その他
公開:25/02/23 18:16
300文字という限られた空間で、自分なりのモノガタリを描かせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
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