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灌木を分け入り大きなシダ類の密林を汗だくに一列隊で行進していた。ぼくらは後期高齢者。同窓会のつもりが行進していた。それぞれに小学生のランドセルを背負って進むとぽっかりと浜辺に出た。海が見える。砂浜に水着の女たちが嬌声を上げている。ビーチバレー。誰かが言う「あれ吉岡敬子だ」「道子も」「麻里も」みんな同級生。彼女らはしかし若人、ピチピチの肢体が眩しい。女たちも気づいた。「みんな元気じゃない」そしてビーチバレーレフリーが英子先生だとわかった。昔と同じ三十くらいで水着姿「男子たちもおいで!」先生ってこんなにグラマーだったか。ぼくらは照れながら彼女らに「ランチ!」とランドセルからおむすびやサンドイッチを出して一緒に食べた。「給食より美味しい」食べ終わると英子先生が「さあ帰るのよ。男子も来る?」と女たちを先導して海に入る。女ら悠々とは平泳ぎで頭しか見えなくなる。ぼくらは砂浜に。誰も泳ぐ者はいなかった。
ファンタジー
公開:25/02/23 14:48
2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。
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