すごい気配り

相方は私とコンビを組む前からピン芸人として活動している。
私としてはピンの仕事は控え、コンビとしての活動に専念してほしい。先日、大きな漫才の大会で優勝したばかり。コンビでこの勢いに乗るんだと鼻息を荒くした。
だが相方は優勝した今だからこそ距離を置く必要性を説いた。ずっと一緒に居続ける事で不仲になる芸人だって少なくはない。
丁度この時、私は趣味で書いた脚本のドラマ化が決まりそうだった。相方はその才能も伸ばすべきだと言ってきた。
私は相方の後押しもあり、脚本家としても活動するようになった。
脚本のスキルを上げる事でネタの完成度も上がる。中には私の名前を聞いただけで笑う人もいる。芸人冥利尽きる。
私の活躍が目立つ中、相方はピンの仕事を着実にこなす。
私は最初、相方のネタは安易な替え歌だとバカにしていた。
だけどその曲を聞くと誰もが笑ってしまうものに変えられる相方の才能に気付いた今は尊敬している。