告白

難病を抱えていた私は３０年前、治療を未来に託した。
コールドスリープ。３０年という時の流れは私に浦島太郎の気分を教えてくれる。
だが家族や友達との感動の再会にそんなものは関係ない。私を治療してくれた先生には本当に感謝している。
先生は私が１日も早く日常生活に戻れるよう、リハビリにも積極的に付き合ってくれた。
そんな先生に、私は年甲斐もなく恋をしてしまった。
だけど私は６０歳。３０年間眠っていたとはいえ、お付き合いできるわけ…
「僕は貴方さえよければ、お付き合い…いや、結婚したいです」
私の玉砕覚悟の告白は成功どころか大成功した。
嬉しさより、何故？が先行してしまう。
「僕。３５年前、先生にプロポーズしたんですよ。ああ、今は僕が先生ですか」
３５年前…その頃の私は保育士をしていた。一人の園児から、毎日プロポーズされていた。
えっ！？もしかして、あの時の…
「言ったでしょ。僕、一途なんです」