遠心分離器

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試験官の後をぞろぞろとついていく。十数人いたか。みんな先端バイオベンチャー入社志望者。書類選考、社長面接を経てぼくたちは残った。これが最終試験とか。ピカピカの実験室にくると試験官は「中に入ってください」とドアを指差した。エレベータのようにドアが開くと光沢の壁。「広さは十分です」十数人が入った。まるい床、壁がぐるりと円筒形の密室。高い天井から金属の棒が垂直に床まで降りてくる。棒は人数分はありそうだ。
「密度の濃い人と薄い人に分離します。高密度が合格です。握り棒を握って。ポケットの小物と上着は預かります」皆から小物と上着を受け取って試験官が出るとドアが閉まって床が回転を始めた。壁も回る。回転が速くなる。思わず握り棒を掴んだ。さらに回転すると一人がキャっと声を上げて飛ばされ壁に貼りついて回る。次にもう一人が飛ばされた。回転がどんどん速くなる。ぼくは必死で棒にしがみついた。最後まで残ってやる…。
その他
公開:25/02/17 18:02

たちばな( 東京 )

2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。

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