七不思議の七つ目

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「美術室のモナリザの額から血が流れる」
「校舎の階段が夜中に一段増えて十三段に」
「誰もいない音楽室からピアノの音が響く」
「トイレの鏡を覗くと背後に女の子の顔が映っている」
 小学校の同窓会で、母校に伝わる七不思議の話になった。

「校庭の二宮金次郎の像が歩き出す」
「真夜中の体育館からボール遊びする子供の声が聞こえる」
 口々に言い、六つ目まではすぐに思い出せたが、後一つがなかなか出てこない。

「変だなあ。確かに七不思議って言ってたよな」
「うん。でもこれだけ集まっても出てこないのはなぜかしら?」
 みんなが首をひねっていた時、いつの間にか部屋の隅に座っていた女の子が初めて口を開いた。同級生なのに、顔も名前も思い出せない子だ。

「七不思議の七つ目を思い浮かべた子はこの世から消えてなくなる」
「ええっ。それが七つ目!」
 一同が声を上げた。

 次の瞬間、みんないなくなった。
ホラー
公開:25/02/16 18:05

ナラネコ

老後の楽しみに、短いものを時々書いています。

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