世界で一番の私

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「君を世界で一番幸せにする。僕と結婚してくれ」
「はい、喜んで」
 2年間付き合った彼女とついに婚約した。それまで以上に愛おしくなった彼女と僕の間に、マリッジブルーなんてものは存在しなかった。むしろマリッジレッド。燃えあがるような日々だった。
 ついに迎えた結婚式。家族や友人が見守る中、僕はスピーチの壇上に立つ。
「こんなに素敵な人と一緒になれて、僕は世界一の幸せ者です!」
「ちょっと待って」
「え?」
 彼女が、いや妻が突如僕の話を遮った。
「私を世界で一番幸せにするって言ってくれたわよね。それなのに、あなたが世界一の幸せ者なの?」
 そう言うと妻は立ち上がり、結婚式場を出て行った。
「私は私が幸せになるために生きているんだ」
そう言い残して。
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公開:25/02/10 23:04

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