お菓子なお化け屋敷

２月１４日。俺は片思い中の彼女の為に、命を懸けて戦った。
彼女が通販で買ったお菓子の家。それが悪霊に憑りつかれた家だとは思ってもみなかった。
彼女の家をも侵食しようとするお菓子の家を俺は憑りついた悪霊ごと食べ始めた。
悪霊を野放しには出来ない。彼女の為にも俺はお菓子の家を食べ進める。
そんな俺を見て、彼女もお菓子の家を食べ始める。
だがこの家、二人で食べきるには大きすぎる。襲い掛かる満腹感。
だから俺は彼女に「あ～ん」して欲しいと頼んだ。彼女が俺の口にお菓子を差し出す。
うめぇ…これならまだまだ食える！
彼女もまた「あ～ん」して欲しいと言ってきた。俺も彼女の口にお菓子を出しだす。
時も悪霊も忘れ、お互いお菓子を食べさせあう俺達。
お菓子の家を完食する。達成感より照れ臭さが強く残る。
そんな甘ったるい雰囲気の俺達をパチパチとラップ音で祝福し、悪霊はやってられるかと言わんばかりに去って行った。